“はっとり生姜”作りの名人、梅田祐伸さん

“はっとり生姜”作りの名人、梅田祐伸さん

健やかな土地と、手間暇と。
“はっとり生姜”おいしさの秘密

前編の通り、長年理想のジンジャーシロップを追求してきた「ジンジャーダイヤモンド」の中尾さんが、ついに巡り合えた究極の生姜、“はっとり生姜”。その出会いは、なんとテレビの中だった。
「広島県福山市にある“服部”という地域で生姜作りを営む梅田祐伸さんを、ある番組内で知りました。それからすぐに取り寄せて味見をしたところ、そのおいしさに感動して…。また、農法へのこだわりにも感銘を受け、すぐにアタックしました」。

はっとり生姜

福山市の最北端に位置する服部地区は、“蛍の里”と呼ばれるほど、豊かな自然に恵まれている。
特に生姜畑のある雨木地区は、裏手に蛇園山がそびえ立ち、昼夜の寒暖差が大きく、清らかな水も豊富。さらに、鉱物やミネラルを含んだ土壌のため、根菜類がよく育ち、生姜の栽培地にうってつけ。

しかしながら、生姜作りは決して簡単なものではない。土壌の養分を吸収しやすい生姜は2~3年同じ場所に植えると連作障害を起こし、収穫量が減ってしまう。そのため、植え付けする畑以外で土壌作りは欠かせない。
また、天候不良や病気に弱く不作の時期が多いため、ピーク時は15軒ほどあった生姜農家も、一時は残り1軒まで追い込まれたそうだ。

「虫がつきやすく、球根の保管や発芽、収穫も面倒な生姜ですが、梅田さんはその道一筋。さらに、農薬は極力使わず、土作りから丁寧にされています。その姿勢に惚れこみ、“はっとり生姜”を使ったジンジャーシロップを作るようになりました」。
みずみずしく、まろやかな辛みの“はっとり生姜”は、ジンジャーシロップに最適。お客様の反応も上々だ。

葉に虫食いがないか、念入りにチェック

葉に虫食いがないか、念入りにチェック

おいしく、健やかな味を、いつまでも。
“はっとり生姜”の未来を見据えて

さらに、中尾さんは梅田さんと共に、“はっとり生姜”の魅力を伝えるプロジェクトを立ち上げた。

「梅田さんは現在66歳。“はっとり生姜”の継承が課題となっていますが、福山市のさらに奥にある農村に、若手の就農者を招くことは難しい。そこで、国内外問わず他の生産者と梅田さんのパイプを作り、ノウハウを継承することで、このすばらしい生姜を未来につなげるアクションを行っています」。

さらに、余剰生産物を肥料として再利用したり、再加工し余すことなく使うことで環境にも配慮している。
「煮出した後の生姜を“生姜糖”に加工して販売したところ、人気商品に。最近ではヨガ教室の方が『運動前のサプリメントにしている』という話も耳にしました」。
地道な努力が実を結び、今では生産農家が6軒まで復活。さらに“はっとり生姜”を使った新商品も開発しているという。

「生姜は、体を温めるのにとても効果的な食材です。これから訪れる寒い季節を乗り越えるために、ぜひ取り入れてください!」
病気をきっかけに生姜の魅力に気づき、人々の健やかな生活を支えようと奮闘する中尾さん。彼の情熱は今日も、人々の暮らしに元気と温もりを与えている。