2023.4.19
◎1F
福岡・博多。このまちの気質に育まれて。
博多阪急は、2011年3月に開業しました。
ある社員は、「開業準備当時、九州の企業との電話で『はんきゅうです』と名乗って『阪九フェリーさん？』と間違えられたのも、今ではいい思い出です」と語ります。関西からやって来た私たちは、そのくらい九州で知られていない存在でした。にもかかわらず博多阪急は、ありがたくもこうして、干支ひと回りにわたって営みを続けてこられました。
このことに、私は福岡のまちの度量を感じずにはいられません。さすが、何百年も脈々と九州の、そして日本の玄関口を担ってきたまちだなと。外から来た者を「受け容れる」を超えて「おもしろがってくれる」気質に、いつも支えられています。
たとえば、2019年から毎年開催している「THINING in 博多阪急」。
博多阪急に赴任してきたある社員が、趣味のサーフィンを通じて、糸島で間伐材（=THINNING／シニング）をテーマにしたマーケットを開く方に出会ったのがはじまりでした。
「森を守る」というコンセプトとマーケットに並ぶ商品のセンスに魅了された彼は、すぐにその方に出店をオファー。当初はなかなか良いお返事をいただけませんでしたが、諦めずに2年間アタックし続けたところ、ようやく念願が叶って開催することができました。
4回目の開催となる2022年の「THINING in 博多阪急」では、森だけでなく海にも足を踏み出し、糸島のビーチクリーン活動で集められた海洋プラスチックのリサイクルプロダクトも製作・販売しました。
単なる百貨店と出店者という関係性を超えて、ともにイベントを育んでいくパートナーとして、博多阪急をおもしろがっていただいています。
「THINING in 博多阪急」の出店者さんと、2年間提案し続けた企画者・龍本（写真右端）
「THINING in 博多阪急」の会場では、出店者の方々と来場者の方々のあいだで、地元の、糸島の、森や海のたしかな手触りがやり取りされています。まさに環境保全のイベントですが、「SDGs」なんていうと逆に実感がなくなって、全員がキョトンとしてしまうような。
自分たちの行為・活動がどこにつながっているか「見える」「感じられる」手応えが豊富なのも、福岡なんだと思いました。「自分たちで自分たちのことを」の自治の精神とでもいいましょうか。ここが城下町、商売のまちとして発展してきたからかもしれません。
「自治の精神」といえば、私は福岡市民の憩いの場・大濠公園をはじめて訪れたとき、あの大きな池のまわりに柵が見当たらないことが、すごく新鮮でした。
転落防止の柵などがありそうな場所なのに、ない。そのことを地元の人に尋ねたとき、「なぜ柵がいるの？」と言われました。 「落ちないんですか？」の問いには「万が一落ちたときには自分たちの責任ではないの？」と聞かされ、なるほど！ といたく感心しました。
そしてその印象が覆らないまま、今日に至っています。
博多阪急店長 亀井
有限会社清屋商店の社長・川口さん（写真左）、会長・川口さん（写真右）
有限会社清屋商店さまが、博多阪急にコメントを寄せてくださいました。
「博多阪急も入居している『JR博多シティ』がオープンして、博多駅周辺は様変わりしました。それまで、福岡で買い物といえば天神の一択。博多駅は単なるターミナル駅にすぎなかった。それが今では、『博多駅に行けば何でも揃う』と地元の人たちもあてにしています。
福岡で70年ほど靴やバッグの修理店を営む当社は、博多阪急開業時からテナントで入っています。われわれ九州人からすると関西も同じ『西日本』ですから、カルチャー的な違和感は当初から特段ありませんでした。むしろ、福岡のまちになじもうと、博多祇園山笠や清掃活動、打ち水をはじめ、地域イベントにもフットワーク軽く協力している姿が印象的です。コロナ禍前には博多阪急の店長が山笠の『台上がり』（台の上から指揮をとる役）を務めましたし、もう立派な地域の一員だと思っています。」
※記事に掲載されたイベント情報や商品は、売り切れ・変更・終了する場合がございます。
※売り切れの節は、ご容赦ください。
※表示価格は、消費税を含んだ税込価格です。