◎9月17日(水)~28日(日) ※最終日は午後6時終了
◎8階 『アートシップ』
売場ニュース
『この「空想建築」のシリーズも、気がつけば3年ほど続けている。これまでは、建築に対する図面的な概念を反映させることが多かった為、意味を宿す「文字」ではなく、非文字的な想像による表現に重きを置いてきた。しかし最近になって自分の中で意識の変化があり、文字をベースとした制作も試みるようになってきている。
というのも、建築の起源を改めて辿ったとき、それは単なる住居や機能的空間としてだけでなく、宗教的・儀式的な場としての役割を担っていた歴史があり、(ピラミッドやパルテノン神殿のように)それらは何か意味を持つ空間として構築されていた。
この感覚は文字が持つ意味性と通じるものでもあり、さらに漢字の起源である甲骨文字の用いられ方とも重なる。(漢字も大衆化される以前は単なる情報伝達媒体ではなく、神聖な存在であった。)
そしてそこに宿る神秘性や信仰は、どちらにも人々の「想い」が存在し、それ自体が記号となっているとも言えるのではないだろうか。
こうした気づきによって、これまで自分の中で切り離されていた「文字」と「建築」という概念が、少しずつ結びつき始めている。
現代では、機能的に統一されたビルやマンションが次々に建ち並び、スマートフォンやパソコンを介して効率的な活字が飛び交う。そうした環境の中で、人々の「想い」のようなものは徐々に希薄になっているようにも思われる。
思考的な試みだけでなく、文字によるエレベーション(立面図)を描くことで、そこに潜在する想いや意識を現実空間として捉えながら立ち上げることができるのではないかと考えている。』
田中 岳舟 Tanaka Gakusyu
1990年生まれ福岡県出身。九州産業大学建築学科卒業。
左利きであることから幼児期にカキカタ教室へ通わされたことをきっかけに書を学び始める。
以降、書を続けながらも20歳の頃に前衛書と出逢いその文字に囚われない“自由な表現”と“書の可能性”に衝撃を受け、アブストラクトな書線や墨が持つ独特な表現を生かした作品などを発表していく。
近年は“書から成るモノ”をテーマとし、書との対峙で得た気づきから思考を広げその可能性を追求している。
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