アジアフェア2021

About プラナカン
                        マレーシア・シンガポール
                        アジアの中の異文化圏を旅する気分

マレー半島
                        美しきプラナカンの世界

今回フィーチャーする“プラナカン”は、マレー語で“現地生まれの子”という意味。大航海時代から東西交易の中心として栄えていたマレーシアやシンガポールにやってきて、根を下ろした中国人“プラナカン(Peranakan)”が、築いたと言われる独自の世界へご案内します。彼らは、祖国中国の宗教や文化、現地マレーの生活習慣を守りながら、英国の植民地時代は英語を操り、西洋文化も巧みに取り入れてハイカラで贅沢な生活を楽しみ、富を築きました。 

プラナカンのお屋敷ショップハウス、テラスハウスと呼ばれる建築様式がプラナカンの伝統的な家。カラフルな英国のタイルで飾られ、中国風やマレー風、西洋風の装飾が混在する折衷様式です。間口が狭く、奥に長いお屋敷には、途中に明かり取りと通風口の役目を果たす吹き抜けの中庭があります。古くからプラナカンが住んだマラッカには、奥行きが100mにもおよぶ豪邸が建ち並ぶ通りもあります。

プラナカン文化を彩る
                            華やかな工芸品女主人の力が強く、刺繍、衣装、食器など女性好みの色鮮やかな文化が花開きました。彼女たちは、流行をすぐに取り入れ、財力と洗練された技、自分たちの美意識で、贅沢なレベルに引き上げました。 その工芸品は、今やマレーシア、シンガポール両国を彩る華となっています。

【刺繍】
                            プラナカンの女性“ニョニャ”の忍耐と根気、そして美意識を養うため、花嫁修業に欠かせなかった“刺繍”。金糸・銀糸が美しいインド刺繍、中国から伝わった絹糸の刺繍、そして、プラナカンが好んだと言われるビーズ刺繍があります。特にビーズのサンダルはプラナカンを代表する工芸品のひとつ。ビーズの1ヵ所をカットしたワンカット・ビーズが、キラキラと輝きます。1足を仕上げるのに、3ヵ月を要するという繊細な作りも魅力。

【伝統衣装:サロン・クバヤ】

「シンガポール航空」と「マレーシア航空」のCA(客室乗務員)が着ている制服は、“サロン・クバヤ”を現代風にアレンジしたもの。 “サロン”はスカートの役目を果たすバティックの腰巻き。点描画のように極小の点で布全体を埋め尽くす精緻な模様のバティックは芸術品として、今でも愛好家から高く評価されています。“クバヤ”はヨーロッパから伝わったブラウスのようなもの。プラナカンの特徴は絢爛豪華な刺繍。女性を美しく見せるボディーラインを強調したカッティングも人気の秘密です。

【食器】
                            ピンクや水色など、フェミニンな色合いが特徴の陶器も有名。中国の景徳鎮でプラナカンのために特別に作られた器は“ニョニャ・ウェア”と呼ばれ、アンティークの製品は、コレクターの間では貴重な存在です。 柄はおもに“鳳凰や牡丹”など富貴を表す縁起物。今ではレプリカがほとんどですが、手描きの美しさで、お土産として大人気です。

複雑な味のハーモニーを楽しむ
                            折衷料理

【ニョニャ料理】
                            中国、主に福建省とマレーの食が融合した“ニョニャ料理”。そこにタイやインドネシアなどの近隣諸国や、この地を植民地としていたポルトガルやオランダ、英国などの影響を受けたハイブリッドな料理です。年頃の女性に花嫁修業として受け継がれていました。手間暇をかけて作られる料理のレシピは門外不出となり、かつては“幻の料理”とも言われていました。“ニョニャ風~”と言えばよりハイグレードな料理と理解されるほど、 その料理技術は高く評価されています。

【ニョニャ・クエ(お菓子)】 
                            日々の生活にティータイムを取り入れていたプラナカンにとってお菓子作りは欠かせないもの。“クエ(Kueh)”は福建語とマレー語でお菓子のこと。見た目はカラフルですが、使われている素材は主に米粉やもち米、芋、豆など。どこか和菓子に似た食感や味がするものが少なくありません。違いは、ココナッツミルクをふんだんに使うこと。家ごとにある得意のお菓子を交換しながら日々のテーブルを賑わせたといいます。

〈監修者プロフィール〉
                        イワサキチエ、丹保美紀
                        両者ともにシンガポール・プラナカン協会会員、プラナカン文化研究家。90年代からシンガポールとマレーシアに関わり、日本で初めてプラナカンの文化を書籍にて紹介する。
                        ホームページ:Peranakan.Chic https://peranakan.tuzikaze.com共著に
                        「マレー半島 美しきプラナカンの世界」(産業編集センター)
                        「マラッカ ペナン 世界遺産の街を歩く」(地球の歩き方Gem Stone)
                        丹保美紀著
                        「シンガポール 絶品!ローカルごはん」(地球の歩き方Gem Stone)
                        「カラフルなプラナカンの街 ペナン&マラッカへ」(イカロス出版)