社長 片山勝仁さん

社長 片山勝仁さん

三重県志摩市の安乗沖は伊勢湾に流れ込む川からの栄養分と熊野灘から北上する黒潮が合流することでプランクトンが育ちやすく、豊富な魚介類が集まる好漁場。「心勢水産」は安乗漁港で水揚げされる四季折々の魚介類を扱う天然活魚問屋だ。社長の片山勝仁さんは安乗の魚のおいしさを広め、地域を盛り上げたいとの思いから魚を使った食品への加工や活魚料理店の経営を手掛ける。現在、片山社長が気に掛けているのは漁業の後継者不足。将来、その現状を打破する仕組みをつくりたいと考えている。

【目次】

1.地元が誇る、脂がのった真サバを新しいカタチに。

夏に揚がった真サバを
                                            オリーブオイルに漬け込んだサバチョビ

夏に揚がった真サバを
オリーブオイルに漬け込んだサバチョビ

ホテルで魚介類の仲介していた片山さんが、自分の会社を立ち上げたのは2002年のこと。「安乗沖は一年を通して温暖で、サバやサヨリ、サワラ、ハギと様々な魚介類が水揚げされます。冬は伊勢海老やあのりふぐが旬ですね」。確かな目利きで仕入れた魚はホテルや旅館、豊洲市場などに生のまま卸すのがこだわりだ。また、安乗沖で獲れる魚のおいしさをもっと広く伝えたいとの思いから、夏場に揚がった真サバを使った商品をつくりあげた。安乗の郷土食、真サバの塩辛をタカの爪やニンニクを加えてオリーブオイルやゴマ油に漬け込んだサバチョビだ。

2.“三重ブランド”認定のあのりふぐをもっと知ってほしい

安乗漁港を中心に水揚げされるあのりふぐ。
                                            怒らせるとぷうっとふくらむ

安乗漁港を中心に水揚げされるあのりふぐ。
怒らせるとぷうっとふくらむ

サバチョビという名称は、アンチョビ風にしたサバが由来。「パスタや焼きそばの具材にも合いますが、クラッカーにチーズと一緒にのせるのがおすすめですね。おいしいですよ」と片山社長。「心勢水産」がもうひとつ力を入れているのが直営料理店「まるせい」。特に冬の看板商品あのりふぐの料理は「まるせい」の代名詞といえる。あのりふぐは2003年に商標登録された安乗漁港を中心に水揚げされる700g以上の天然とらふぐ。身がしまり、じんわりと口に広がる旨みが特徴で限られた店でしか扱えない。そんな中にあって「心勢水産」は取り扱い店第一号を誇る。

3.漁業の後継者を育てて、安乗の漁業を盛り上げ続けたい

あのりふぐの漁獲時期は
                                            毎年10月から翌年2月までに規制されている

あのりふぐの漁獲時期は
毎年10月から翌年2月までに規制されている

あのりふぐは「鮮度が高い状態で提供したい」との思いから、注文を受けてから生きたままさばく。隣接する直営の料理店「まるせい」でも、問屋が目利きしたさばきたての天然ふぐをリーズナブルに味わえるとあって、遠方からのお客様が絶えない。志摩市を愛する片山社長は地域が誇るあのりふぐを大切に守っていきたいという思いも強く、乱獲をはじめ厳しい漁業規制を設ける「あのりふぐ協議会」の立ち上げに参画。また、近年深刻となっている漁業の後継者不足を打破したいと考えている。「将来的には若手漁師を雇って育てる社団法人を立ち上げたいですね」。