代表 川口芳幸さん

代表 川口芳幸さん

太平洋に面し、漁業の盛んな三重県志摩市浜島町の中にあって、三方を山に囲まれ農業が盛んな南張(なんばり)。ここはかつてメロンの温室栽培が盛んな地域で最盛期はメロン農家が13軒あったが、現在は通年では「川口農園」1軒、中元・歳暮時期に無暖房で栽培している農家が2軒のみとなっている。伊勢志摩サミットでも提供された南張メロンは香り高く、すっきりとした甘みが特徴だ。カットメロンやメロンスイーツを味わえる隣接のカフェも人気で、志摩市の観光スポットのひとつとなっている。

【目次】

1.品種改良を重ねながら4代にわたり受け継いで

日当たりを考えて、
                                            温室は段差をつけて建てられている

日当たりを考えて、
温室は段差をつけて建てられている

サーファーのメッカであるという海岸や漁港を抜け、広大な田畑の間の道を進むと何棟もの温室とログハウスのような建物が見えてきた。目的地の「川口農園」だ。「昭和5年に祖祖父がメロンの栽培をはじめ、私で4代目ですね。もともとはきゅうりやなすびといった野菜の促成栽培をしていたのですが、知人からのすすめでメロン栽培を始めたようです」と代表の川口芳幸さん。南張は一年を通して比較的暖く、冬は暖房を利用するもののメロンに適した土地だという。この地で、「川口農園」は品種改良を重ね、オリジナル品種を生み出した。

2.手作業で一つひとつ、愛情をこめて栽培

残すメロンは1本の苗にひとつだけ。

残すメロンは1本の苗にひとつだけ。

「地元の農業高校に入学後、家業を継ぐことを決意しました。卒業後は拓殖大学北海道短期大学に入学し農業を履修。その後、種苗会社『サカタのタネ』のアメリカにある研究所で2年間学びました」。現在、そうして習得した知識を糧に3代目であるお父様と2人で10棟もの温室でメロンを育てている。「川口農園」では年間を通して出荷が途切れないよう、棟ごとに1週間ずつ生育をずらして栽培。また、有機肥料にこだわり、ひとつずつ手作業で受粉する。さらに、1本の苗から3つの実を育て、ある程度の大きさでひとつだけ残して栄養分を集中させる。

3.メロンが一番おいしい時に味わってほしいから

温室に隣接するカフェ「メロン ハウス かわぐち」。メロンパフェが人気だ。

温室に隣接するカフェ
「メロン ハウス かわぐち」。メロンパフェが人気だ。

手塩にかけて育てたメロンは地元のホテルやレストランに出荷する他、個人から注文を受けている。2016年に開催された伊勢志摩サミットで提供されてからは注文数が一気に増えた。また、伊勢志摩サミット開催年、温室の隣にカフェ「メロン ハウス かわぐち」をオープン。地元の杉やヒノキを使って建てた温もりあふれるカフェで食べごろのカットメロンやメロンスイーツを味わえるとあって大変人気だ。「温室でメロンの栽培をしていると、カフェのお客様が帰りがけにおいしかったと声をかけてくださるんです。それが励みになります」。

4.買った後のひと手間で、おいしさが決まる

メロンのおいしい食べ方をたずねると、まず箱から出すことをすすめられた。「メロンってガスが発生するんです。箱に入れたままだとガスが充満し傷んでしまいます」。また、地面に近い方(お尻)から熟してくるので箱から出したらお尻を上に向けて置いておくとよいとのこと。「そうして定期的にコロコロと転がしてください。上から熟してきて、表面が段々と黄色くなってきます。香りがしてきたら、お尻を押してください。やわらかくなっていたら食べ頃です」。