「いずみピクルス」の前身は、泉州の一大産業として 栄えたワイヤーロープの製造工場。海外の安い製品 が出回り、約10年前から将来に陰りが見え始めた。 実家を継ぐまではITベンチャー企業で企画や商品開 発をしていた4代目の西出喜代彦社長は、泉州名産 の“水なす”に注目。全国的に有名になっているのは昔ながらの“水なすの漬物”。ハッとするオリジナリティーや新鮮みのある加工品を作ろうと思い、誰もまだ見たことことがない”水なすのピクルス”というアイデアが浮かんだ。日本の食卓に合うピクルスを目指そうと、和風調味液を開発し、酢漬けながら酸っぱ過ぎず、まろやかな旨みがあるピクルスが完成した。

【目次】

1.ワイヤーロープからピクルスへ

「いずみピクルス」4代目社長 西出喜代彦さん

「いずみピクルス」4代目社長 西出喜代彦さん

かつて泉州の一大地場産業として栄えたワイヤーロープ製造。「いずみピクルス」の前進もワイヤーロープの製造工場だった。橋やエレベーターを吊るすなど、様々な用途に使われるワイヤーロープは、1990年代から安価な海外製品が出回り、約10年前から将来に陰りがみえ始めた。そんな時、4代目社長の西出喜代彦さんは、泉州名産の“水なす”に目を留めたのだ。「泉州で全国的に有名になっているのは、昔ながらの“水なすの漬物”。ハッとするオリジナリティーや新鮮味のある“水なす”の加工品はまだ世の中にない。ならば誰も見たことがない“水なすのピクルス”を作ろう」そう決心したのは2011年の初夏、ちょうど水なすの旬が始まる頃だった。

2.酸っぱ過ぎない日本の食卓に会う味わいを追求

地元の野菜や果実を使い、約30人の地元スタッフが
丁寧な手作業で「いずみピクルス」を支える

水なすピクルスは昆布だしベースの和風味

実家を継ぐまでは、ITベンチャー企業で企画や商品開発をしていた西出社長。食品に取組むのは初めてのこと。市販されているピクルスを食べた家族の反応をみて、日本の食卓に合う味を追求することに。そこで生まれたのが、利尻昆布や海塩、ミネラル豊富なキビ糖などを使った和風調味液。酢漬ながら、酸っぱ過ぎず、まろやかな旨みがあるピクルスが完成した。

3.目指すはトータルに泉州野菜を知ってもらえるブランド

これからまだまだやりたいことがあるという西出社長。コロナの自粛中に冷蔵庫の野菜をどうにかしたいと、自宅でピクルスを作るために調味液を検索する人が多いことに着目して、3月から調味液のサブスクリプションをスタート。500万トンに及ぶ家庭の廃棄物の中でも上位にあげられる余った野菜を、ピクルスにして楽しんでいただけたらフードロスにも役立つのではという思いもあった。また、ピクルスにとって大切なハーブや洋野菜など、泉州で手に入りにくいものを自社で作ろうと農業に参入。栽培することで知識を深め、研究することで、おいしさを追求できたらと考えている。さらに、今後は、工場の一部を改装してカフェを開く計画。泉州野菜や「いずみピクルス」を知っていただく場であると同時に、お客様の生の声が聞ける貴重な場。新たな商品開発にもつながっていき、地元の魅力を発信していけたらと先を見据えたプランは広がるばかりだ。