元禄2年創業、大阪・堺で醤油醸造から始め、現在は糀の製造を主軸として味噌や甘酒といった関連商品も幅広く生産している「糀屋雨風」。機械による糀づくりが当たり前となった今でもこだわり続けているのが、創業以来受け継がれている手づくり製法だ。また、16代目当主常務取締役の豊田宣広さんは、「日本の伝統食である糀の素晴らしさを未来に残したい」という想いのもと、地元企業との商品開発や料理教室の開催など様々な取組みも行っている。

【目次】

1.日本の伝統食である糀を、未来に残したい

「糀屋雨風」16代目当主常務取締役 豊田宣広さん

「糀屋雨風」16代目当主常務取締役
豊田宣広さん

大阪・堺で300年以上の歴史を持つ「糀屋雨風」は、もともと醤油醸造を生業とし、雨が降っても風が吹いても商いを休むことがなかったことから“雨風屋さん”と呼ばれるようになった。戦前には皇室御用達として宮中にも納品。終戦後、大手メーカーが醤油業界に進出し始めると、新たな活路を求め、取扱い品目を味噌や甘酒、どぶろくなどにも広げた。日本の伝統食である糀だが、現代人の食生活が変わるにつれその存在を知らない世代が増えてきているのも事実で、16代目当主の宣広さんは「糀の素晴らしさ、大切さを次世代に伝えていきたい」と語る。

2.昔ながらの製法を守ってこそ、生み出せるもの

1年を通じて味が変わらない魚“ガシラ”

今でも昔ながらの杉を使った箱で糀づくりをしている

糀づくりを行う糀室(こうじむろ)で使用する箱・蓋・床は、高温多湿な環境に最も適しているとされる杉板を使うのが一般的だった。しかし次第に機械化が進み、その杉板を使った“杉室”も今では姿を消しつつあるが、「糀屋雨風」では昔とほとんど変わらない環境で糀づくりを続けている。糀の仕上がりを左右するのは、温度と湿度の調節。「杉特有の呼吸作用が糀室内の環境調整に役立ち、ふわっとした良質な糀に仕上がるんです」と豊田さん。自慢の手づくり味噌はあえて発酵を止めるための加熱殺菌をしないことで、味噌本来の栄養素をそのままキープ。「発酵が続くため、熟成が進むにつれ味わいの変化を楽しんでいただけます」。

3.糀の魅力を、今の時代に合ったカタチで届けて

糀を使ったチーズスプレッドなど、
現代の暮らしにマッチする新しい商品も開発している

豊田さんは、若い世代にも糀の魅力を知ってもらうべく、時代に合った新たな製品開発を行っている。糀を使ったチーズスプレッドは、同じく堺にあるコンフィチュール専門店「アンディオール」とのコラボから誕生。塩糀がチーズのコクと旨みを際立たせる逸品だ。製造工場に隣接するカフェでは、自社の塩糀や甘酒を生かしたこだわりメニューを提供するほか、手づくり味噌で正月を迎えるという泉州地方の風習を継承するため、味噌づくり教室も開催。糀を通して、地元の食文化の発展に貢献し続けている。

4.ご自宅でも簡単に!塩糀の作り方

【材料】
糀・・・200g
塩・・・70g
水・・・180cc

【作り方】
1.糀をもみほぐしてバラバラにする。
2.糀と塩をあわせ、しっかりとこねる。
3.水を少しずつ加え(2)をもみほぐしながら溶かす。
4.容器に移し替え常温で置き、一日一回かき混ぜる。
5.1週間から10日が経ち、塩の角が取れたらできあがり。
※消費期限は冷蔵6ヵ月