「山田製油」代表取締役 山田康一さん

創業者は山田豊さん。虚弱体質に悩まされていた時に出会ったマクロビオティックの提唱者、桜沢如一さんから“世のため、人のためになる食べ物を作らないか”という言葉をきっかけに「山田製油」のごま油作りが始まった。“へんこ(京都の言葉で“頑固者”)”という愛称がついたほど、熱い思いの持ち主。その意志を受け継ぐ三代目の山田康一さんは、原料にもこだわり、国産ごまが手に入りにくいなら自分で作ろうと決意。3年前から、京都府南丹市日吉町胡麻で地元の方たちと一緒に胡麻の生産に取り組んでいる。

【目次】

1.世のため、人のためになる食べ物を作る

ごまは、8月から9月下旬、
サヤが開く前に収穫します

「山田製油」は、初代の山田豊さんが、虚弱体質に悩まされていた時に、マクロビオティックの提唱者、桜沢如一さんから玄米正食の指導を受け、健康を取り戻せたこと。“世のため、人のためになる食べ物を作らないか”という言葉がきっかけで誕生。そのひたむきで真面目な姿勢から、いつしか“へんこ(京都の言葉で“頑固者”)”という愛称がついたほど、思いが熱いことで知られている。三代目の山田康一さんは、大手の冷凍食品会社に勤務していたが、製造工程に疑問を感じ、「祖父のように体に良いもの、人に誇れるものを作らねば。」と決心し、家業を継いだ。「山田製油」のごま油は、昔ながらの圧搾法で搾油した“一番絞り”。一般的なごま油は、数回絞りごまの重量の50~55%程度の油をとるが、一番絞りでとれるのは、重量の30%程度。まさに“ごまかしなし”のごま油は、有名パティシエが驚くほどの香りと味わいだ。

2.国産ごまが手に入らないなら、自分で作る

ごまのサヤの中
どのサヤにも一列20粒×4列、
80粒のごまが詰まっている

現在日本で消費されているごまの99.9%が、海外からのもの。国産のごまは、海外のごまに比べ、粒が小さいが、小粒だからこそ、同じ量をすった時の香りが違う。では、香り高い国産ごまが、なぜあまり生産されないのか。米に比べ、収穫量が安定せず、加工に手間がかかり、耕作面積が必要なことから、取り組む生産者が次第に減少していった背景が挙げられる。“国産ごまがないなら、自分で作るしかない”と決意した三代目。工場の移転先を探していた時、京都府南丹市日吉町胡麻という地域があることを知る。もともと自家用のごまを栽培していた人がたくさんいたが、いつしか減ってしまったという地域。三代目は工場移転という機会に、「胡麻地域を名実ともにごまの町にしたい。」と地域の人と生産を開始した。

3.京都・胡麻地区の人と手を携えて奮闘中

地元に戻り、ごま栽培に携わる寺阪亮さん

自宅の前にごま畑を作り、生産に取り組む三代目。地元に戻り働きたいと考えていた寺阪亮さんが入社し、責任者となって生産を始めた。栽培1年目は結構な量が収穫でき、手応えを感じていた山田さん。ところが、2年目、3年目と不作が続き、収穫量が安定しないという現実に直面。ごま油の搾りかすを肥料にする循環型農業を取り入れながら、試行錯誤の真っ最中だ。最初は5名でスタートしたごま栽培も、耕作放棄地の活用などで栽培面積が広がり、地域の協力者も20名ほどに増えた。とはいえ、自社農園の生産量は20kgくらいと、まだまだ少量。「今回は、炒りごまでご紹介しますが、国産のごまで作った“ごま油”をお届けできるように、地域の方と一緒に頑張っていきたい。」と社長の思いは熱く、挑戦は続く。