第7回 時をかけるあん

小豆の産地・品種の
                        違いを知ろう

日本あんこ協会
                        会長 にしいあんこ

北海道十勝産小豆

日本の小豆の産地と言えば、北海道。国内生産量の約7~8割を占めます。中でも、十勝産がもっとも有名でしょう。なんと言っても、昨今は北海道産小豆の60%以上が十勝産なのですから。なぜ、十勝は小豆の産地になったのでしょうか?その理由に、十勝の昼夜の寒暖差、広大で小豆栽培に向いた火山性の土壌があげられます。風味がよく、皮が薄く、吸水性にもすぐれている北海道十勝産の小豆は、やわらかで繊細な日本のあんこにピッタリなのです。あんこを知るためのはじめの一歩は、やっぱり北海道の十勝小豆からでしょう!

北海道産小豆 エリモショウズ

エリモショウズは、もっともスタンダードな小豆の品種です。最近でこそ、きたろまんに生産量を抜かれてしまいましたが、広く出回っている古参の味わいが魅力です。昔ながらのあんこの味、小豆のあの独特のアクっぽい風味を求めるあんこファンにとって、エリモショウズは期待を裏切りません。あんこ好きをアピールする時は、「やっぱエリモやな~」なんて言ってみてください。にわかファンではなく、あんこをずっと愛してきたベテラン感が周囲に伝わりますよ。

北海道産小豆 きたのおとめ

色味、香り、味わい、食感、どれもエリモショウズに極めて近い、きたのおとめ。それもそのはず、エリモショウズを母にもつ品種として誕生したのですから。薄皮で柔らかくなりやすいため、粒あんに向いていると言われます。1994年に北海道の奨励品種になりましたが、昨今のきたろまんの台頭により、生産量は減少傾向に。新しい品種が次々と出てくる小豆の中で、きたのおとめはいずれ食べられなくなるレアな品種になるかも。あんこ史の証言者となるべく、一度は食べていただきたい小豆です。

北海道産小豆 きたろまん

ここ15年ほど、メキメキと生産量を伸ばし、ついに作付面積ナンバーワンを獲得した小豆界のニューウェーブ。エリモショウズに比べて、少し風味があっさりしているのが特徴です。粒は少し大きめで、ポリフェノール含有量が他の小豆に比べて多いとも言われています。新世代あんこの幕開けの立役者として、きたろまんは一度食べてみて、その味を覚えておきましょう。

北海道産小豆 しゅまり

しゅまりは、美瑛のご当地小豆。2003年に新品種に認定された、わりと新しい品種です。毎年、北海道産小豆の数パーセントほどしか作られておらず、あんこファンにはぜひ味わっていただきたい小豆です。あんこになれば、小豆独特のアクっぽさはなく、藤紫色や砂糖の加減によっては赤紫色の鮮やかな色味に仕上がります。名前のかわいさもさることながら、上品なあんことして、洋菓子界からのラブコールも多くなっているとか。今後、さらに人気が高まることが予想されます。

兵庫県・京都府産 丹波大納言小豆

兵庫県丹波市春日町東中(ひがしなか)は、丹波大納言小豆の発祥の地と伝えられています。丹波栗、丹波黒豆とともに、丹波三宝のひとつとして、あまりにも有名です。古くから兵庫・京都の丹波地方で作られ、小豆の最高級品種として京菓子の材料に使われてきました。俵型で鮮やかな濃赤色が特徴で、あんこにすれば、コロコロほろりとした食感。ふくよかな豆そのものの味わいを愉しめます。「とにかくあんこには豆感を求めたい!」というあんこファンには必食です。

京都府産 馬路大納言小豆

馬路大納言は、亀岡市馬路町に伝わる在来品種の大納言小豆で、豆の味がとても濃い一方で、渋みのない上品な風味です。一般的な丹波大納言よりも、さらにひと回り大きく、縦に積み上げると、4~5粒は積みあげることができるほど。歴史上の書物では7粒とも…。事実はどうあれ、これだけ大きい大納言小豆だからと言って、大味と思いきや、非常に繊細なあんこになってくれます。

兵庫県産 黒さや大納言小豆

幻の大納言小豆と言われるほど、見かけることがほとんどない「黒さや大納言」。丹波大納言の原種とも言われており、国産小豆の生産量の1%未満(本当は、0.00…%の世界でデータが存在しません)。とにかく希少性が高く、皇室献上品としても有名です。小豆のさやは茶色くなるものが一般的ですが、黒さや大納言は、その名の通り、真っ黒なさやをつけます。しかし、ひとたび、あんこになれば、色味は美しい藤紫色。小豆の皮はほろほろと崩れるほど薄く、口当たりの良い大変に洗練されたあんこになってくれます。まさにギャップ萌えです。あんこファンなら「黒さや大納言を食べたことがある」の一言で、上級者確定と言えるでしょう!

北海道産 大納言小豆

大納言小豆と言えば、エリモショウズやきたろまんなど、一般的な小豆に比べて、高級な小豆とされています。大粒で、ピカリとまぶしい光沢が特徴的。そもそも、なぜ“大納言”と名付けられたのでしょうか?実は、大納言小豆は、あんこにしても煮崩れしにくく、いわゆる“腹割れ”することが少ない小豆です。このことから、切腹の慣習がない官位の名前である“大納言”が冠せられたと言われています。

北海道産 とよみ大納言小豆

北海道で作られる大納言小豆の中でも、近年もっとも作付面積が大きいメジャーな大納言小豆。大納言の魅力は何と言っても、粒立ちにあります。大納言と言えば、俵型をイメージしますが、とよみ大納言はコロンと丸みを帯びたかわいらしい形をしています。たくさん作られ、使われているからこそ、安定の粒立ちと豆の風味をあわせ持つ、大納言らしいあんこになってくれるのです。