BE YOURSELF 01|ロギーケイ
FEATURE | 2020.3.19
BE YOURSELF 01|ロギーケイ
様々な業界で活躍する方に、HANKYU MUSEがインタビューするBE YOURSELF。初回はファッションブランド<ロギーケイ>のデザイナー、興梠仁さんと興梠景子さんに、デザインや生地選びのこだわりや、サスティナビリティーについて伺いました。
<ロギーケイ>
興梠仁(コウロギヒトシ)、興梠景子(コウロギケイコ)による、
2006年スタートのファッションブランド。大阪を拠点に活動し、大阪・福島にアトリエ兼ショップを構えている。


HM(HANKYU MUSE編集部員、以下HM):まずご自身で<ロギーケイ>らしさとは何だと思いますか。

仁:お店に吊っているだけの姿だと、(らしさが)何にも伝わってないような気がします。人が着て動いて、はじめて洋服になったと自分たちも納得する感じ。

HM:たしかに、ハンガーで見ていた時と着たときでは、まるで違う服のように感じます。机上で描いたデザイン画を服にするというよりも、仕立てて作りながらデザインを決めていくという感じですか。

仁:デザイン画だと、イメージしているものを描ききれないこともあります。描いているうちに、考えていたことを忘れてしまうこともあるし。なので、なるべく描かずに。ディテールとか必要な時は描きますけど、基本的には作って素材との相性も見ながらデザインを考えています。

HM:パターンはどなたがひかれてるんですか。

景子:パターンは、二人ともひきますね。自分がデザインしたものは自分でひいています。

HM:ひとつのコレクションに、お二人それぞれの作品が混ざっているということですか。

景子:そうです。私がレディースのコレクションを作ることが多いんですが、かといってユニセックスのパンツを作ることもあるし。まずテーマを考えて、お互い作りたいものを作っていく感じです。
仁:生地もある程度決めていって。

HM:今回、展開するコレクションのテーマは?

景子:今回は“ニュートラル”。自分たちが思ったことをテーマにすることが多いんですが、自分たちらしさって、あっち系・そっち系だと自分たちを決め付けないことじゃないかと感じて。“一旦ここでニュートラルになろう”と思いました。根本に戻る、ベースに戻るとでもいうか。なので、スウェットやデニムという今まで使ったことのない素材にトライしたりして、またニュートラルな立場に戻ろうと。
仁:どっちつかずだからニュートラルっていうことではなく、自分たちが選んで決めて、あえて中立に行く、という。


(<ロギーケイ>デザイナー
興梠仁さん、興梠景子さん)

HM:いつも素材にこだわられているとお聞きしたのですが、はじめて使われるデニムやスウェットには、どういった生地を選ばれましたか。

仁:僕たちは、いつも日本の生地を使っているんですが、今回選んだデニムは、岡山のものです。はじめて使うのでダメージ加工があるものとかは違うかなと思い、ローデニムを選びました。いち生地として見たときに、ハリ感があるところが好きで。ローデニムなので色落ちはしていくんですけど、着ていく内にお客様のカラーに染まっていく、というところも良くて選びました。

HM:日本の生地を使うことにこだわる理由はあるんですか?

仁:僕たちが使うものって天然素材が多くて、織物はすべて日本のものを使っています。服を作り始めた当時は、すべてを僕たち自身で作っていて。そのとき感じた作る楽しさだったり、行ったプロセスを知っているから、使おうと思うんです。それに日本に生まれ、僕たちは特に関西で生まれて、生地屋や工場、資材屋が多いという恵まれた環境にいるのを、使わない手はないなと。海外でもコレクションを出しているんですが、海外ではメイドインジャパンがひとつの売りになるというのも理由のひとつです。

HM:日本の産業や伝統的な技術を守る、というサスティナブルな意識も含めて使用していこうと思われますか。

仁:それもありますね。サスティナビリティーというと、僕たちは昔から、自分たちが作ったもののハギレを捨てずにキープして、不定期ですが年に何回か“ハギレの再生展”という企画展を店舗でやっています。ハギレからTシャツ、カバン、シャツ、ストールなどを作って販売していて。今まで4回行っているんですが、それでもまだまだハギレがある状態なので、こういう企画展でだけではなくて、コレクションにも取り入れられたらベストだなと思っています。


(今季はじめて使ったローデニム。ローデニムのパンツは、ボリュームたっぷりで存在感がありながらも、どんなトップスとも合わせやすく、シーズンレスに着ることができる。<ロギーケイ>Tシャツ 24,200円 パンツ 53,900円 ストール 7,590円 サンダル 54,780円)

HM:サスティナビリティーは、特にファッション業界で考えていかなければならないことですよね。本来、ファッションって、自分を表現するものであり、それによって人に様々な印象を与えるものだとも思うのですが、改めてファッションってどんなものだと思いますか。

仁:お店の入り口にも貼っている言葉なんですが、“Fashion influence your action.”。洋服って、見た目を変えるだけじゃなくて、内面を動かす力があると思っていて。要は、服は着ることで、何かを行動に移す力を生むんじゃないかと。着ることで、テンションがあがったりとか、気合が入ったりとかした延長線上に、たとえば誰かに会いに行くこととか、行動に移すことがあって。それがどんどん広がっていった結果、今の多様なファッションがあるんだと思います。
景子:この時代、考えるべきことが色々あるけれど、私たちもいちブランドとして服を作って、着ていただいていて思うのは、1点を長く着てもらうことは大事だし、必要。そして、さらにそこから一歩先のことも考えていかないといけないなとも思います。リメイクとかいろいろ方法はありますよね。
仁:今、世の中は洋服を作りすぎているなと感じていて。なので、次の秋冬コレクションは、型数を半分に減らして、これ!と思うものだけを見せることにしました。その分、カラーバリエーションを増やして、数じゃなく奥行きを見せるようなチャレンジをして。実際1月に、海外でコレクションを発表したのですが、反応もすごくよかったです。展示会で、用意しているサンプルの、その色しか選んでもらえないケースって多いので、それだったら見せたい型を絞って色を全て見せていこうと。
景子:あとは、私たちは昔からセールをやっていないんです。
仁:取引先さんには、買い取ってくださってるから、セールにはしないって、言いにくいんですけどね。
景子:ロスになってしまうほど、作らないことですよね、難しいですけど。でも私たちは資源を使って、服を作っているじゃないですか。水とか、無限かのように思って使ってますけど、有限ですし。


(生産の過程で出たハギレを裂いて、織った生地)

HM:生地はすべて日本製だったり、生産の過程で出たハギレをなるべく使用する試みをしたり、セールをしなかったり。そういった試みを行っているブランドを知ることが、消費することについてニュートラルに考える機会になると思います。最後に、HANKYU MUSEをご覧いただいている方に、<ロギーケイ>をアピールするとしたら?

仁:ハンガーにかかってるだけだと、2割くらいしか服のことについて伝わっていないと思う(笑)。本当に、着てもらうのが一番のきっかけだと思うので、まず試しに、着てみていただきたいです。
景子:着ていただいた方が、どう感じるかが一番です。どんなブランドなんですかとプレスの人たちに聞かれることがありますが、私たちがこうなんだああなんだと言うよりは、着た方の感想がまちがいないというか。
仁:どこのブランドさんも、最初ってターゲット決めたりとかするじゃないですか。それってわかりやすいと思うんですけど、僕たちにはないんですよ。
景子:昔からないんですよ。
仁:逆に、ターゲットを決めるのって僕たちにとっては難しい。ターゲットとして定めた方以外の方にも、興味を持っていただけることもあるじゃないですか。じゃあ、そういう人たちに対してどうするのかと思うと、ない方が絶対いいなって。

HM:ターゲットを決めないということは、デザインだけに集中して服を作っているということですか。

景子:“こういう人のため”みたいにイメージをして、服を作ったことはないです。ブランドをはじめた頃から。もちろん、アーティストさんからの依頼だったりしたら、その人のために作りますけどね(笑)。

HM:自分が着たい服、という訳でもないですよね?

景子:自分から離れて作っているのではないですが、これが着たい!と思ってデザインしてるということでもないですね。もちろん好きで作っているので、嫌いなものでもないですが。


(<ロギーケイ>といえば、アイコニックな“0型”のルック ※参考商品)

HM:そうお聞きすると、初期の頃からあるアイコニックな“0型”のシャツって、どうやって思いつかれたのか、気になります。

仁:ヨーロッパって、腰のあたりをタイトにすることが美しいって時代があったじゃないですか、コルセットをして。“0型”のサークルって真逆なんですよ。対抗した訳じゃないけど、マルって着たらどうなるんだろう、と思って作ったことがきっかけです。最初はシャツだったかな。置いたら、マルになるのが美しいと思って、パターンは複雑なんですけど、袖も丸くなるように作って。それを生かして、コートを作ったり、パンツ、スカートも作ったり。どうなるんだろう?という実験的なマインドがスタートです。
景子:作っていったら自分たちがどんどん、サークルって奥深いな、という気持ちになっていきました。地球も丸いし、時計の針も円を描いて回っていくし、世の中にマルのものってすごく多いなと気づいて。自分たちにとって重要になってモチーフとして制作をずっと続けている、という。
仁:すべては繋がっている、というのを形にしたらサークルかなって。想像できないものって面白いじゃないですか。想像できてしまったらそこで完結して、興味は終わってしまうけど、僕たちは洋服を作ってるから、洋服に関しては、どうなるんだろう?と思い続けていくことが大事なんじゃないんかなと思います。



着てみるまでの“どうなるんだろう?”という未知にワクワクしする気持ち、着てみることで新しい自分が発見ができる面白さ。<ロギーケイ>の服を着てみると、鏡の前にいるのは“新しい自分”だけれど、服が自分に馴染んでいるのがわかりました。そして、着る人ごとに服が変わったのかと思うほど、見え方の違いがあるのも面白い。どんな人が着ても、着た人に馴染む服。それが<ロギーケイ>の服だと思います。
ぜひ、売場に足をお運びいただき、ご試着くださいませ。


■新・日本の美意識<ロギーケイ><エズミ><ラムシェ>
○3月25日(水)~31日(火)
○4階 コトコトステージ41

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