◎10月1日(水)〜10月7日(火)
◎本館1階 イベントスペース
布を溶かし糸1本で表現する技法、"透過刺繍"による、田口ナツミの作品を展示販売。タイトルは、中国の思想家である荘子の説話「胡蝶の夢」より着想を得ました。荘子は「逍遥遊」という言葉で、夢と現実の境目を超えて、あらゆるしがらみから自由になる生き方を語りました。誰が蝶で、誰が人か。その問いすらもう必要ないのかもしれません。小さな枠の中の常識から離れ、自由な存在となれば、違いや区別、差別を超えた「逍遥遊」の世界が広がります。ただ、この世界にふわりと漂う蝶のように、夢と現実、既成概念などから解き放たれ、何にもとらわれずに「在る」。そんな理想を、この透過刺繍で形にできたらと思っています。
透過刺繍とは?
透過刺繍は、水に溶ける布に糸を通し、完成後にその布を溶かすことで、糸の張力のみで形を保つ技法です。長らく刺繍は女性の手仕事として家庭の中にとどまり、美術として正面から扱われることは多くありませんでした。この技法は、「布」という土台をあえて消し去ることで、刺繍という行為を文化的な枠組みから解き放ち、糸そのものの力だけで空間に存在する、新たな表現へと昇華したものです。
作品紹介
①Rêve de papillon(蝶の夢)