――靴職人を志したきっかけはなんですか?
元々、服が好きで服屋で働きながら服作りをする友達の手伝いをしていたんですよ。でも、靴の作り方はわからなくて。その時たまたま、日本でイタリアの靴職人を間近でみたことがあって、『靴ってこんなにややこしい作り方をしているんだ、1度やってみたい!』と思ったことがきっかけで、学校に通い始めました。
――そこから靴にのめり込んでいったと。
服屋をやめた後、飲食店の店長や(敏腕の)営業マンとして働いていたことがありました。でも働いていくうちに、自分で作ってないものを売ることに躊躇してきたんです。自分に嘘はつかず、納得がいって、心から良いと思うものを売りたいと思ったんです。イタリアに修行に行ってから、靴作りをして売るということ、にどんどんのめり込んでいきました。
でも僕は靴職人っぽくはないと思います。自分の中で「デザインはこうあるべき」という確固たるものもあまりなくて、他の靴職人に比べて、プライドや自信は低いほうだと思いますよ。
――それでもお客様と自分のこだわりとの葛藤はありますか。
どうでしょうか。まずはお客様が主役で、その後身に付けるものが引き立て役です。それでいうと大きな面積を占める服があって、靴は邪魔せず更に引き立てるものです。でも1番サイズはシビアで、そこにビスポークオーダーがあって価値があるんだと思います。
ただ、デザインに関して自分の中にないアイデンティティをオーダーされると、お客様の望むものに成り得るか自信がないです、、、とは伝えます。自分のアイデンティティに引き込むように、お客様とお話ししながら決めていきます。
――久内さんの得意とするアイデンティティとは?
好きなのは、捨て寸が短いけど細く見える、足が小さく見える、という雰囲気です。それはイタリア系が好きだからですね。だから、短めのパンツに合わせて似合うような、浅い履き口にして、足首に色気が出るように心掛けています。
――職人さんの手とは。
ハンマーとか鰐(ペンチ)とか握るんでどうしても生傷がありますし、硬くなりますね。昨日血豆をえぐって取ったんですよ(笑)。嫁に痛いって言われます。
――そういった思いをしてまでする靴作りの醍醐味はなんですか?
好きの延長だと思っています。人生の楽しみ方のひとつです。やりたかったことをやれているというだけで、喜びや達成感はあります。
それは趣味でもなんでも、楽しんでいることが重要です。僕はバイクも車も服も好きで、大切にしていますしね。
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2021/9/19更新
2022/07/07更新