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READY FOR GIFTING VOL.1

ニューギフト対談 循環するギフト

2021.10.15

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READY FOR GIFTING VOL.1
ギフトについて改めて多面的に考える企画"READY FOR GIFTING"VOL.1

第1回  "ニューギフト対談 循環するギフト"
「人の手が感じられるもの」(yae) 「高いものとか、そういうことではない」(平山)

ジェンダー、政治、人種などのトピックに目を向け、新しいアイデアを提案するメディアとして2018年に誕生した新進気鋭のウェブサイト『NEUT Magazine』の編集長・平山潤さんと同メディアでコラムなどを執筆する作家のyaeさんのお二人に、ギフトについて話を聞きました。


平山 潤
NEUT Magazine編集長。1992年、神奈川県相模原市生まれ。成蹊大学卒。ウェブメディア『Beinspired!』編集長を経て、現在は『NEUT Magazine(ニュートマガジン)』創刊編集長を務める。世間で"エクストリーム"だと思われるようなトピックや人に光を当て、より多くの人に「先入観に縛られない"ニュートラル"な視点」を届けられるよう活動中。


yae
1997年、東京生まれ。15〜19歳の間はニューヨークに留学し、ダンスや絵画の授業を通して表現することの楽しさを学ぶ。自然環境と食について綴るコラム連載(『NEUT Magazine』)の執筆や、アートワークの展示、楽曲などの制作活動しながら自身を探索中。




――聞くところによると、yaeさんは東京から福岡に引っ越しをされたそうですが、まさに、ご近所
さんに贈り物をするタイミングだったりするのでしょうか?


yae:
そうなんです。福岡で、店舗のないお菓子屋さん「菓子 瑞」をされている石井美帆さんという方に出会って。その方が本当にすごくて、いつもお菓子を持ち歩いていて、偶然会った時だとしても、毎回渡してくれるんです。「これ今日焼いたやつ」とか言って。私のために作ったというよりも、今日会う人のために作ってらっしゃってて。そのお菓子を近所の方に渡したいと伝えて、作ってもらいました。


平山:いい話(笑)。

――いきなりいい話ですね。

平山:
僕は20代後半になってようやく親に贈り物ができるようになって。例えば母の日とか父の日とか。それから取材先とか、展示とかそういった場所にも持っていけるようになった。その人が好きそうかなって想像したりして。あんまり店のことを知らないし、展示だったら、その会場の近くをぶらっとしてみたりして探すのも楽しいなって。

――最近で言うと、どちらに持っていかれました?

平山:
【NEUT Magazine】のイモリの絵なども描いてくれているmokaちゃんという子の個展が新宿であって、その時、新宿の駅近くにあるフルーツパーラーでフルーツを買っていきました。子どもの頃、フルーツパーラーって連れて行ってもらった記憶はあるんですけど、大人になって、そういうところで買うという体験をしてない。それに、mokaちゃんもフルーツパーラーで買ったフルーツをもらうなんて体験をしてなかったみたいで、ちょうど誕生日も重なっていたし、これは今渡すのがいいなって。最高級ではないですけど、いい値段するメロンを買っていきましたね。食べる日をちゃんと想定してその日にちょうど熟れるものを店の人が叩いて(笑)選んでくれて。その体験は僕も楽しかったです。

yae:
へぇ。私は昨日も(焼き菓子を)もらって。詰め合わせセットみたいな。東京にちょっと帰ると言ったら、帰る前の日に渡してもらって。東京でお母さんと食べれるなって。私もこういうものをあげられる人になりたいなって思います。

平山:
僕はyaeと違って自分自身が必要に迫られないとあんまり買い物とかしないので、ギフトというタイミングで行ったことないお店とかに入ったり、新しい体験ができるっていう感覚がある。

yae:
確かに私とは全く逆かも(笑)。行ったことのないところのものを人にあげないっていう定義をつくっていて。

平山:
それもわかる。それもわかるんだけど、クオリティをちゃんと保てるものをと思うので、人に聞いたり、いろいろ調べたりするのも僕にとって新しい発見につながっている。

yae:
あー、そうか、なるほど。

平山:
フルーツパーラーでフルーツ買うっていうのも、不味くないんだろうなっていう信頼感、”それがフルーツパーラーでしょ”っていう気持ちもある。あとは、事務所の近くにドーナツ店があって、そこのドーナツもちょっと呼ばれて行く時には持っていったりします。手作り感がすごく感じられるので、実際、作り手の顔は見えないんですけど、作り手の顔が見えそうな味というか、そういうものが近くにあって手軽に持っていけるのはいいなと思っています。

yae:
ドーナツの話で思い出したけど、私も下北のドーナツよく持っていったなぁ(笑)。私は日常的に人に何かをプレゼントする機会が多いかなと思っているけど、いろいろ思い出してみると邪魔にならない、気を遣わせない、っていうのが物選びの基準にあるかな。そういうことを意識すると、食べ物が多くなる。でも、ソースとかそういうものは好みでないと減りが遅くなるように思うからあまり選ばない。だから、ナチュラルワインとかあまり飲んだことないって人だったら、最初に飲んだら美味しいよってものを持っていったり。しかも、ビンだから、ラベルが可愛かったらとっておいてもいいし、必要なかったらリサイクルにも出せる。ゴミにならないから、いいなって思う。ちゃんとなくなるようなものが人にあげやすい。

平山:
それは確かにそう思う。この依頼をもらった時に、そういうことをいろいろ考えてあげているだろうなって思った。

――ちなみに、yaeさんは平山さんに何か、これまでプレゼントしたものというのは?

yae う〜ん。

平山 もらってないかも(笑)。

yae 笑

――家族や友人にプレゼントするっていうのを意識し始めたのは、どういうきっかけですか?

平山:
僕自身、結構遅い方だと思うんですけど。周りの友達はちゃんとしているというか。手作りのものをあげたりとか、そういう人が多いかなと思います。僕はコロナ禍で家にいる時間も増え、時間的な余裕が持てるようになったので、親の誕生日に家で楽しめるものを贈るようになりました。まぁ、家族には顔を見せるのが一番いいんだろうと思いますが。

yae:
家族だったら、最近、福岡に引っ越してしまったので、今年は誕生日を一緒に祝えないなと思ったので、引っ越す前に自分の部屋の引き出しに母へのプレゼントを隠しておいて、誕生日に電話してその場所を見てって連絡を入れて。そしたら、後から電話がかかってきて、テンションバクあがり(笑)。私の趣味ではないバッグなんですけど、母はとっても好きって言っていたので、それをあげました。
あと、昔の話なんですけどすごく記憶に残っているプレゼントがあって。アメリカの高校に通っていたんですけど、高校卒業の時に、一番仲良かった美術の先生がノートを私にプレゼントしてくれて、大切にとっておいてたんです。何ヶ月後かに使うのもったいないなと思いながら、開いてみたんです。そうしたら、所々に、ポケットがついていて手紙が入っていたり、飛び出す絵本のようになっていたり、メッセージが書かれていたり、詩とかも入っていて、号泣してしまって。その瞬間までただノートを使うかどうかを迷っていただけなんですけど。これは本当に心に残ったギフトでしたね。

平山:
話を聞いているとやっぱり高いものとか、そういうことではないなと思いますよね。実は、『NEUT Magazine』の1周年に、陶芸作家のKotaro(Yamada)さんが作品を作ってくれて。鉢植えになっているんですけど、これがめちゃくちゃ嬉しくて、いつも見えるところにおいてます。陶芸を教えてもらったこともあって、プロセスを知っているだけに大変さもわかるし、本当に嬉しいです。宝物です。

yae:
中古の何度も繰り返し読んだ本をもらった時も嬉しかったですね。Amazonで新品を買って送られるよりも、思い出というかその人の手が感じられるものをもらえた、という。それで私もそれを読みまくって誰かに渡したいなって思いました。気を遣わせない、そういうものではなく、そして、自分の中で止まらない、誰かに渡していけるような。

――循環させるギフト、という形も良さそうですね。

yae:たとえ新品でなくても、家にあった可愛いお菓子の包装紙とかに包んであげるだけで、その人の気持ちとかが伝わって、いいなって思いますね。

イラストレーション:木村耕太郎

ギフトについて改めて多面的に考える企画
"READY FOR GIFTING"

VOL.1 ニューギフト対談 循環するギフト(平山潤さん×yaeさん)
VOL.2 graf代表・服部滋樹さんに聞く「贈り物をすること」
VOL.3 本を贈ろう(ドキュメンタリー作家 川内有緒さん、書店「1003」店主 奥村千織さん)

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