楽しませてくれていた桜の木々から、淡い新芽が芽吹き始めました。
新しい暮らしが始まった方も、そろそろ日々のリズムに馴染んできた頃でしょうか。
春は香りある野菜が美味しくなる季節。
なかでも「セロリ」は、香りの強さが敬遠されがちですが、好きな人にはたまらない、爽やがな香りと奥深い苦味み、軽やかな食感が推しポイントの野菜です。
実はこの香り、日照量と関係があり、日照時間が長くなってきた春はみずみずしさと共に、ふわりと広がる香りも格別になります。
よく見かけるのは、茎が白い「コーネル種」のセロリ。
それに対して、葉だけでなく茎全体が緑色をした「グリーンセロリ」は、香りもやや強めです。みずみずしくて筋が少ない品種なので、筋取りを気にせず手軽に楽しめるのも嬉しいポイントです。
因みにセロリの筋が気になる場合は、茎の端に包丁を当てて筋を起こし、スーッと引くと取れます。切れたら反対の端からも同様に。
とは言え、斜めに薄切りにすれば、どの品種でも筋はほとんど気にならないので、大きく切って煮物にするなど以外、私は比較的筋取りせずに使うことが多いです。
葉、茎の下部、茎の上部ーそれぞれに味わいが異なるので、調理前に部位ごとに分けておくと使いやすくなります。
香りが強く食感もしっかりとしている「葉」はバジルソースのようにペーストにすれば、生き生きとした香りをそのまま様々な料理に活かせます。逆に香りを和らげたい場合は、天ぷらにしたり、ザクザク切ってツナや桜エビと一緒にパスタにしたり、一度茹でて冷水に取り、水気を絞って切り干し大根と和えるのも、お気に入りの使い方です。
実は葉に含まれる栄養は茎の2倍とも言われています。だからこそ、葉まで余さず、できれば早めに調理して味わって下さい。
セロリの香り成分「アピイン」は、神経を落ち着かせる働きが期待されているそう。
気温の寒暖差や、新生活の緊張でちょっと疲れたな、と感じた時は、セロリの香りに包まれた料理をひと皿いかがでしょうか。
セロリに触れながら、気が付けば五感がふっと緩むようなそんな時間も味わえますように。
じゃがいもをミルクで煮て、焼くだけの簡単グラタン。
セロリは乳製品との相性も抜群です。
じゃがいもとセロリの簡単グラタン
(材料)
じゃがいも中3個(皮をむいて薄切り、水にさらさない)
セロリの葉、上部茎 適量
牛乳+生クリーム 300ml(目安)
ピザ用チーズ 適量
(作り方)
①小さめのフライパンまたは鍋にじゃがいもと牛乳+生クリームを入れ柔らかくなるまで煮る。
②セロリの葉はさっと茹でて冷水に取り、刻む。上部茎は斜め薄切りにする。
③じゃがいもに火が通ったら塩で味を調え、セロリを加える。
④耐熱容器に移してチーズをのせ、200℃のオーブンまたはトースターで焼き色がつくまで焼く。
セロリが苦手だったけれど好きになったという声の多い一品。
よくある組み合わせですが、袋に入れて混ぜるだけの手軽さなのに、やみつきになります。
セロリの即席漬け
セロリ 茎下部 100g
塩昆布 5g(目安)
酢 小さじ1
お好みでごま油やごまを加えると、コクが出てまた違った味わいに。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)
野菜ソムリエプロ
百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。
長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。
旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。
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