今年は梅雨明けが早く、どこか夏の気配が違うなと感じてました。
それは、早朝から響くはずの蝉の鳴き声が静かだったことです。
そんな蝉の大合唱も、ここ数日で一気に本格化してきました。
本格的な夏に嬉しいのは、やはり火を使わずにサッと作れる料理です。
トマトが真っ盛りの今、良く作っているのは「ぷちぷよトマトの甘酢漬け」。
皮がとても薄くてやわらかな弾力のある「ぷちぷよ」は、洗って水気を拭き取り、市販の甘酢や三杯酢に漬けておくだけ。冷蔵庫で一晩おけば、口当たりよく甘酸っぱさがたならない小鉢になります。
水なす
夏のナスの中でも、みずみずしさで人気の「水なす」は格別です。
皮が薄くてアクが少なく、生のままでもサラダとして楽しめるほど。
スライスしてひと口味わえば、ほんのりリンゴを思わせるような、爽やかな風味が広がります。
ナスは「金気(かなけ)を嫌う」とされ、包丁を避け手で裂いて調理されることもありました。今は扱いやすいステンレス製の包丁も増えていますが、あえて切り込みを入れてから、手で裂くと、添えたフレッシュチーズやオイルがよく絡み、噛んだ時のジューシーさが際立ちます。火を使わずに楽しめる水なすサラダは、ホワイトバルサミコ酢、塩、オリーブオイルでシンプルに。
米ナス
ヘタが緑色でビッグサイズの「米ナス」は、見た目のインパクト抜群です。こちらは水分がやや少なく、肉質が締まっているので、煮崩れしにくく、焼く、煮る、揚げるなどじっくりとした加熱調理に最適です。
ナスと油は好相性として知られています。
高温の油(130℃以上)で調理するとでアクが甘味に変わりうま味を閉じ込めてくれるから。さらに、皮に含まれる紫色の色素「ナスニン」(アントシアニンの一種)は水に流れやすいですが、油調理することで流失が抑えられ色も鮮やかに保てます。
油を吸収しやすい性質も、夏の食欲が落ちる時期には栄養補給にも◎。ほとんどが水分ですが、吸収される油の栄養素を効率よく摂れる、頼もしい夏野菜にもなるのです。
ナスに切込みを入れ、食べやすい大きさに切る。
多目の油で両面約。
切り込みに味噌と、大葉、バジル、薄切りミョウガなどを挟む。
薬味だけ食べる直前に挟み、冷蔵庫で冷やしておいても◎。
米ナスのラザニア風グラタン
材料(2人分)
米ナス 1個
トマトソース(市販) 適量
モッツァレラチーズ(またはピザ用チーズ) 適量
塩
米油
バジル(仕上げ用)
作り方
①米ナスを1㎝程の輪切りにし、塩をふって10分置く。出てきた水分とアクをしっかりとペーパーでふき取る。
②フライパンで両面を色良く焼く。
③耐熱皿にトマトソースを少量しき、ナス→トマトソース→チーズの順に重ねて3段にする。
④200℃のオーブンで15分程焼き、仕上げにバジルを添える。
さっぱり口当たり良い副菜から、主役級にもなる夏の万能野菜のナス。品種や調理法によって表情豊かに楽しめます。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)
野菜ソムリエプロ
百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。
長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。
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