11月に入ると、街は早くもクリスマスの装いに。今年も残すところ二ヵ月足らず。澄んだ空気の中で薄紅葉も色濃くなり、きらめくイルミネーションが心をやさしく包む、、、そんな大好きな季節がやってきました。
先月、掘り上げたばかりの父が育てた里芋をもらいました。店頭にも、みずみずしく鮮度の良い里芋が並び始めています。蒸したり、茹でるだけでも、土のやわらかな香りがふわりと立ちのぼり、その素朴な風味はどこかほっとする安心感のある美味しさです。
「衣かつぎ」は、皮付きの里芋の姿を、平安時代の女性が外出するときにかぶった単衣(ひとえ)の衣に見立てた名前だそうです。洗った里芋の皮の周囲に切込みを入れ蒸して(または茹でる)塩をふるだけ。指でつまむと、つるりと皮がむけ、簡単なのに手軽に風味を満喫できる頂き方です。
鮮度の良い里芋は、水分があるので電子レンジの加熱でも美味しく蒸し上がります。皮付きのまま加熱し、粗熱が取れたら皮をむくだけ。皮のすぐ下にある、香り高い部分まで味わうことができます。
掘り上げたばかりの里芋の姿を見ると、根がたくさん伸び、茎の根元にデンプンが蓄えられて丸く太った地下茎だと良く良く分かります。里芋に含まれるでんぷんは加熱すると消化、吸収が良くなると言われています。また、イモ類の中でも水分や食物繊維が多く最も低カロリーなので、やさしいエネルギー源としても嬉しい食材。
そんな里芋で作ったコロッケ(クロケット)。サクッとした衣の中から、しっとりなめらかな里芋が顔をのぞかせます。じゃがいもとはまたひと味違う、優しい味わいが魅力です。
里芋のコロッケ(クロケット)(2-3人分)
里芋 350程gほど
玉ねぎ 1/2個
片栗粉 大さじ1 適宜(里芋と玉ねぎの水分で調節)
塩、こしょう、各少々
卵、パン粉、揚げ油、各適量
(1)玉ねぎはみじん切りにし、ラップに包んで600Wの電子レンジで2分加熱し、粗熱を取る。
(2)里芋は洗って皮付きのままラップに包み600Wの電子レンジで3分加熱。上下を返してさらに3分加熱し、竹串がすっと通るか確認する。ラップをはずし粗熱が取れたら皮をむき、袋に入れて麺棒でつぶす。
(3)玉ねぎと塩、こしょうを加えて混ぜ合わせる。
(4)3の生地をスプーンを使って卵液に落とし形を整え、パン粉につけて180度に熱した油できつね色に揚げる。
※里芋の粘りで、手に付きやすいので、水でぬらしたスプーンを使い里芋生地を卵液に落としてから形を整えると、扱いやすくなります。
※刻んだハムや炒めたキノコ、柚子の皮やチーズを加てもオススメです。
里芋はどんな素材にもやさしく寄り添う優しい野菜です♪秋から冬へと向かうこの季節、ねばり成分の含まれる里芋は体調管理にも優しく寄り添ってくれそうです。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)
野菜ソムリエプロ
百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。
長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。
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