サツキやツツジが庭を明るく彩る、5月です。
風もどこか爽やかな新緑美しく心地よい季節になりました。
父の小さな家庭菜園では、夏野菜の苗が次々と植えられ、続いて出番を待つ苗も控えています。その夏野菜を植える前に育っていたのが、この季節ならではの「新たまねぎ」。今年はどれも大きく立派に育ち、たくさん持ち帰らせてもらったので、毎日のように食卓に新たまねぎが登場しています。
新たまねぎの魅力は、なんといっても収穫したてならではのやわらかさとみずみずしさ。一般的なたまねぎより乾燥期間もなし、または短いため水分を多く含み、辛味がおだやかで、たまねぎ本来のやさしい甘みや香りを楽しむことができます。
まず楽しみたいのは、フレッシュ感あふれるスライスオニオンで。辛味が気になるからと長時間水にさらすと、香りや栄養までも流れ出てしまうこともあります。
実は、スライスして少し置いておくだけでも辛味はやわらぎます。たまねぎは切ることで細胞が壊れ、酵素の働きによって辛味成分が生まれますが、この成分は揮発しやすい性質があります。スライス後に空気に触れることで刺激が徐々にやわらぎ、食べやすくなります。品種や保存状態、個体差によって変わるので、辛味が落ち着く時間ははっきりとは言い難いのですが、新たまねぎはもともと辛味が穏やかなため、5〜10分ほど置くだけでも食べやすさを感じやすいと言われています。
また、冷蔵庫で冷やすことで、刺激をやわらかく感じられる場合もあります。
たまねぎの面白さは、加熱することで全く違う美味しさに出会えること。
半分または1/4に切った新たまねぎを、200℃のオーブンで断面を下にして約30〜40分。断面にはほんのり焼き色がつき、中心はとろけるような食感に変わります。
加熱によって水分がほどよく抜け、甘みはさらに濃く、やわらかな口当たりも相まって、気づけば1玉食べてしまいそうな、そんな味わいです。
焼けた外側の皮を外して冷蔵庫で冷やしおけば、食べる直前に塩とオリーブオイルをかけるだけでシンプルなマリネに。カリっと焼いたバケットにのせていただくのもオススメです。
みじん切りにした少量の新たまねぎを白ワインで煮詰め、ブイヨンを加えてさらに煮詰めます。そこへ生クリームとカレー粉を加えたカレー風味のソースや、アンチョビクリームソースを添えると、やさしい甘みの新たまねぎにコクと香りが重なり、ごちそう感のある一皿に仕上がります。
手軽に楽しむなら、丸ごとラップで包んで電子レンジへ。仕上にポン酢をかけるだけでも立派な一品になります。
とろりとやわらかくなった果肉から、じゅわっと甘みが広がります。収穫したてならではのみずみずしさと、やさしい甘味。近郊から届く季節の新たまねぎの美味しさを、ぜひ食卓で楽しんでみてください。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)野菜ソムリエプロ
百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。
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