◎4階 えほんのへや
『じかんはともだち』
「暑いですね。」があいさつになっている毎日。
気がつけば一日が終わり、一週間が過ぎ、一か月が過ぎていきます。
一年も折り返して、もう一か月。年々、時間の流れが早くなっているように感じるのは、私だけでしょうか。
夏休みの始まりは「まだこんなにある!」とワクワクしたのに、気がつくと始業式が近づいて、宿題に追われる夏休み後半。大人になっても性格は変わっていないようですが(笑)、大人になった今は、毎日が夏休み後半のようにあっという間に過ぎています。
時計を見ながら予定をこなし、次の予定へと急ぐ毎日。時間に追われているつもりはなくても、気づけば時間を追いかけて暮らしているような気がします。
だからこそ、ときどき立ち止まって、「時間ってなんだろう」と考えてみたくなります。
目には見えないけれど、止まることなく流れ続け、誰にでも平等に与えられているもの。
そんな「時間」を、子どもにもわかりやすく、そして大人にはあらためてその尊さを教えてくれる絵本です。
「いま なんじ?」
ドーナツを持った男の子は、「3じ!」と答えます。
時計を見れば「今、何時か」はわかります。でも、この絵本が教えてくれるのは、時計の読み方ではありません。
「3じ」は、流れ続ける時間の中の「今」という一瞬を表す言葉。
眠っていても、歌っていても、本を読んでいても、ぼんやり空を眺めていても、時間は変わらず流れ続けます。
一秒、一分、一時間、一日、一週間、一か月、一年。そして、世界へとつながる時間。
難しくなりがちな「時間」という概念を、こんなにもやさしく、自然に伝えてくれる絵本があったでしょうか。
てづかあけみさんのポップで楽しい絵とともにページをめくるうちに、時間は怖いものでも、追いかけるものでもなく、私たちにそっと寄り添ってくれる存在のように思えてきます。
誰もが同じだけの時間を持っています。増やすことも、誰かからもらうこともできません。
だからこそ、自分の時間は、自分だけの大切な宝物。
絵本の最後まで読み終える頃には、「時間は足りないもの」ではなく、「一緒に歩いていく友だち」なのかもしれないと思えてきます。
毎日があっという間に過ぎていく今だからこそ、少しだけ足を止めて、時間と仲良くなってみませんか。
そんな気持ちをそっと届けてくれる一冊です。
「どうして?」の、その先を追いかけるのススメ
デジタルの海を泳ぐ前に、本棚の前に立ってみるのはいかがでしょう。
絵本にも、自由研究のヒントがたくさん隠れています。
トマトパスタが大好きな女の子。でも、食べるたびにソースが服にはねてしまいます。
はねるのはパスタのせい? ソースのせい? それとも食べ方のせい?
「どうしたら思いっきり食べられるんだろう?」という疑問から、観察と実験を繰り返します。
ねばりけゲージ / 落下ゲージ / しなりゲージ / 角度ゲージ / ゆれはばゲージ
原案は、そんな探究心から生まれた小学5年生の受賞研究。不思議を見つけ、仮説を立て、試して、確かめる。その過程が、北村みなみさんのイラストと共に、とてもわかりやすく楽しく描かれています。
最後には、お気に入りの服を着てトマトパスタを楽しむための研究成果も発表されます。巻末には自由研究のヒントも掲載。
身近な「なんで?」「どうして?」に気づき、観察し、自分なりに考えて試してみること。
その積み重ねが、「科学の芽」を育ててくれるのかもしれません。
小さな疑問が、絵本になる。
そんな未来につながる物語が生まれるなんて、なんて夢のある賞なのでしょう。
この夏は、絵本をきっかけに子どもたちだけでなく、大人も一緒に「どうして?」を楽しんでみませんか?
探究心をくすぐる絵本を参考に「どうして?」の、その先を追いかけてみませんか?
未来の科学も、暮らしを豊かにするアイデアも、きっとそんな小さな「なんで?」から生まれているのかもしれません。
<プロフィール>
絵本のつなぎて ふわはね(内田祐子)
絵本を描く人作る人読む人読んでもらう人を繋ぎたいと関西を中心に活動を続ける。絵本で作る扉や広がる世界を楽しもうと絵本の紹介や絵本がある暮らし、親子の時間が楽しくなる発信をと綴るインスタグラムは子育て中のお母さんや幼児教育に携わる先生方に支持される。